キャリアに活きる海外滞在のポイントは目的意識!ニューヨークから学ぶ、好きなことだけで生きていくコツ〜NY日系NPO法人 田下国広×itty selectionかみむらゆい〜トークイベントレポート

ニューヨークでの留学や、働いた経験をもつゲストを招いて自由なキャリアを創るヒントを探るトークイベント第1回目。2018年5月19日(土)に開催しました。


ゲストは、20歳で単身渡米し、日系留学生の学生団体「NYJSA(ニューヨーク日本学生会)」の代表をつとめた後、アメリカで活動する日本人のネットワークを支援しているNPO法人JaNetにてプロジェクトリーダーをつとめた田下国広さんをお招きしました。


また、ニューヨークでPRプランナーやライターとして活動した経験を持ち、現在itty selection Inc. CEOとして、東京・ニューヨーク・ハワイの日系企業PRやニューヨーク・ハワイを介したキャリアアップ支援事業を展開するかみむらゆいさんも登壇しました。


おふたりには、ニューヨークと日本の働き方やライフスタイルの違い、そしてどういう人がニューヨークに行って可能性をつかめるのかをお話いただきました。

モデレーターをつとめるのは、itty selectionでPRプランナー・PRライターとして活躍するKisaです。


グローバルに活躍するためのヒントが得られるこのトークイベントについて、PRライターのErina Hiraiがレポートいたします。



目的意識があれば、いくらでも向上できるのがニューヨーク

Kisa(モデレーター):どういう人がニューヨークに行って成功できると思いますか?


田下:目的がある人だと思います。僕の場合、最初の目的は遊びのような感じでしたから刺激的な毎日でしたけど、結局はそれではもったいないので目標を立て直したんです。

そして、大学に通いながら学生団体で代表を努めました。日系企業にスポンサーになっていただき、何百人と集まる大規模なイベントを開催したりと、充実した生活でしたね。


ニューヨークって「行けばなんとかなる」と思っていく人が多いんですが、そういう人は街の空気に流されて、本来の目的を見失ってしまうことが多いです。刺激的な街なので、目的がないと遊んじゃいますからね。


かみむら:そうですね、私も現地で日系の留学エージェントのインターンをしていたとき、日本から毎週10人くらいの日本人がやってくるんですけど、何もできずに終わっていく人たちをたくさん見ました。


一方で、ニューヨークで自分の夢や目標を叶え、日本に帰国してからも活躍しつづける同年代の友人も私のまわりにはたくさんいました。彼らはやっぱり目的意識がしっかりしていたからこそ、そうなったんだと感じています。


だから、今は、きちんと目的を持って留学してもらえるようなサポートを事業の1つとして手がけています。語学留学ではなく、将来に活きる海外滞在をしてもらうというものです。

インターンの紹介や仕事の面からのアドバイスなど、日本に帰ってきたあとにどう活躍できるのかを見据えたサポートをしています。



人脈ゼロから仕事を得るのに、特別なスキルは必要ない

Kisa:おふたりは、ニューヨークでどのように仕事を見つけていったんですか?


田下:学生団体以外にも、学生時代から「頑張る日本人を応援する」をコンセプトとしているNPO法人に関わり、異業種交流会などをしていました。その流れで、学校を卒業後、そこで働くことになったんです。


ニューヨークには世界トップクラスの経営者やビジネスパーソンがたくさんいます。でも、日本みたいにOB訪問をするなどの風習がないので、学生はそういう社会人に会う機会が少ないんですね。

そこに課題を感じていて、留学生に社会人との交流の機会を作るというプロジェクトを開始しました。

そこから1年間は現地の日本企業の社長さんに会って、今の学生における課題などを議論する毎日でしたね。


かみむら:私は、ニューヨークに行ったとき、はじめは語学学校に行っていましたが、英語が伸びそうにもなかったので、とにかく仕事を探しはじめました。そのときに大学生向け就活セミナーにいって、今の師匠に出会ったんです。


当時、大手広告代理店ADKのニューヨーク支社でCFOを務めていた方で、「PRやってみたら?」と言っていただいたんですよね。

ファッションに携わることは決めていたので、ファッションのPRができるところをネットで片っ端から調べて連絡したんです。そこで出会えたのが、現地でファッションPRをしている女性で、アシスタントをさせていただくことになったんです。


Kisa:はじめからつながりがあって、それらの仕事に出会ったんでしょうか?


田下:僕は最初はLAの大学に通っていたので、編入当初はニューヨークには知り合いが誰もいなかったんです。

まずはイベントや団体を探しました。そこでNY JSA(学生団体)を見つけて行くようになったんです。メンバーは10〜15人くらいだったんですけど、そこで、企業スポンサーをつけた500人以上規模の音楽イベントなどをしました。


あと、ニューヨークには夢を持ってきている人たちが多いので、仕事以外でも、プライベートでいろいろな人に会えます。ダンサーや歌手、有名人なども普通に会えるんですよ。

業界においてすごい人にも会おうと思えばすぐ会える環境にあるので、自分がどう動くかで人脈を作ることはできると思います。


かみむら:当時、5〜6個の仕事を掛け持ちしていましたが、わたしも、そもそもはニューヨークに知り合いは1人もいませんでした。

色々な活動やイベントに参加していると、日本人の女の子ががんばっているという話が広まって、そこからいろいろと仕事の話をもらったり、ファッションPRの会社でも、当初よりも、もっと長くいてほしいと言ってもらえました。


日本人で活躍している人たちのネットワークって、どんどんつながっていくんですよね。

ニューヨークには色々な人種の人が住んでいますから、とくに20~30年前は差別も大きく、今成功している日本人の方々がビジネスをはじめたころは鼻で笑われるような時代。それを乗り越えてきているんですよね。

だから、同じ苦労をさせたくないと、夢を持ってくる日本人を応援してくれる風土があります。小さくても目標を持って、とにかく1歩を進みはじめよう!


Kisa:ニューヨークと日本での仕事や働き方の違いはありますか?


かみむら:手取り足取り教えてくれる日本とは違って、ニューヨークは、目指すゴールは決まっているけど、そこに到達するためには何をやってもいいというスタイルでした。

自分で考えてなんとかするしかないんですけど、だからこそ成長できて良かったと思います。


あと、同年代の人たちも自立心が高いです。フォトグラファーやデザイナーが所属するクリエイターチームのPRをしていた時があったのですが、それぞれが仕事の依頼を受け、それをみんなで取り組むみたいなことが成り立っていて。「友だちと働く」ってこんなに楽しいんだ!と思ったんですよね。


そもそも日本人の数が、日本にいるよりはもちろん少ないので、同じ業界の人だけでかたまったりもしません。

いろいろな業界の各プロフェッショナルと出会い、インスピレーションを受けながら仕事をしています。それから、忙しいながらも自分の時間を作ってプライベートも大切にするなど、私の働き方のベースは今でもニューヨーク流です。


田下:僕が感じる1番の違いは、日本は考えてから進むけど、アメリカは進みながら考えるということ。日本は準備を完璧にして、ゴールが見えてからじゃないと物事が進まないんですが、アメリカはやりながら方向修正をするスタイルなので、僕には合っていたと思います。


ネガティブにとれる言葉も言わないですね。疲れた、眠い、お疲れさまなど。僕は今でもネガティブな言葉はあまり使わないようにしています。


Kisa:最後にニューヨークに行きたい人へのアドバイスをお願いします。


かみむら:人にはいろいろな考え方があるので、とにかくたくさんの人と出会ってください。

私のまわりには好きなことを仕事にしている人がたくさんいます。そういう働き方を実現している人と出会うことで、「自分にもできるかも」と思えるようになることが、妥協のない理想のキャリアを築くポイントだと思います。


田下:ニューヨークに行くなら、自分は何をしたいのかを明確にしてほしいと思います。

日本に帰ってきたとき、最初に60人くらいのシェアハウスにいたんですけど、びっくりしたことは、仕事をやめたいという人に「仕事をやめたら何するの?」と聞いたら「わからない」と言われたことでした。


アメリカでは、仕事でも趣味でも「これから何がしたいのか?」という未来の会話が当たり前。つねに小さくもいいから目標を持ちつづけてください!



レポートを終えて:Erina Hirai

今回のトークイベントでは、実際にニューヨークで活躍されてきたおふたりに話を聞きましたが、日本に帰ってきてからも、ニューヨークスタイルを実現されていることが印象的でした。


仕事や人生の目的を遊びのように生活に取り入れ、一緒に仕事をしたいと思える人と、好きな場所で仕事をする。そんなワクワクするような働き方ができる可能性がニューヨークでは広がるんだと実感できるトークイベントになりました。

みなさんも、ぜひニューヨークでのチャンスをつかみとる1人になってください。



登壇者プロフィール

田下 国広(たした くにひろ)

2005年、20歳でカリフォルニアへ単身渡米し、その後ニューヨークへ転居。

大学に通いながら、日系留学生の学生団体「NYJSA(ニューヨーク日本学生会)」の代表をつとめ、100名規模の学生交流イベントを多数主催。

在学時より、アメリカで活動する人々のネットワークを支援しているNPO法人JaNetにて理事をつとめ、2014年まで「企業人エグゼクティブと共に、若手の未来活動を活発化させる」ための活動に従事する。同年帰国、その後は商社や不動産投資会社へ勤務し、現在に至る。

NPO法人JaNet


かみむらゆい

itty selection Inc. CEO/PRプランナー/PRライター

2009年、22歳で東京からニューヨークへ。NY在住中と帰国後の3年半、フリーランスのPRプランナー・PRライターとして活動、50社以上のPRに携わる。

2016年、29歳でPR会社を設立。企業から個人に渡るPRプランニングの他、PRを軸としたフリーランス支援事業(「広報・PRプランナー&PRライター養成講座」主催など)、ニューヨーク・ハワイへのPR&企業進出支援・留学支援も展開している。

Co-nnections press

イベントプレスリリース(※イベントは終了しました)


(執筆: PRライター Erina Hirai)