結果につながるPRライティングのポイント。ターゲット設定と構成づくりを徹底し、“誰に何を伝える記事なのか”を定めましょう〜PRライター入門〜

こんにちは。株式会社Cannpass代表の山崎春奈です。PR・キャリア・人材育成を軸にした会社経営をしながら、外資系メーカーに会社員として勤める複業(副業)キャリアを2016年から歩んでいます。


当社は、PR講座やPR人材プロダクション運営をつうじたPRライター育成をおこなっており、PRやPRライティングの基本を学べるコンテンツを発信しています。

今回は、結果につながるPRライティングの基本であるターゲット設定と構成づくりについてお伝えします!

(タイトルやその他のポイントについては、別の記事にてあらためてお伝えする予定です)


■詳細なターゲット設定がPRライティングの要

PRライティングをする上で、もっとも欠かせないのが、ターゲット設定です。ここで言うターゲットとは、「記事を読んでほしい読者」のことを示します。記事を書く前に、どんな人にこの記事を読んでもらうのか、人物像をできるだけ具体的にイメージしましょう。


記事を書くためにターゲット設定をするというのは当然のことのようですが、年代・性別といった大まかなものではなく、PRライティングでは、性格、趣味、職種、生活スタイル、家族構成などできるだけ細かく想定します。このモデル人物のことを「ペルソナ」と言います。


ペルソナ設定が大切な理由としては、同じテーマに基づいて書く記事でも、ターゲットによって伝え方がまったく異なるからです。

たとえば、キャリアアップに関する記事を書くとします。「20代・女性・転職経験無し・社会人歴3年」の方と「40代・女性・転職経験複数回有・社会人歴15年」の方とでは、当然、考えていることが違うため、伝え方を変える必要がありますよね。さらに、その同じ年齢で似たような経歴だとしても、東京に住んでいるのか、大阪に住んでいるのかなどによって文化や環境は異なります。


いくつかの異なるターゲットに同じ情報を届けたい場合には、なるべくそれぞれにあった内容で1記事を完成させ、別の記事で伝えるようにしましょう。


情報が溢れている今、人びとは、自分に必要な記事なのかどうかを瞬時に判断します。「これは自分のための記事だ」と思ってもらうことが、伝えるための第1歩。ターゲットを絞ることはとても重要なのです。

反対に、「多くの人に読まれたい」と思ってまんべんなく書いた記事は、結果として誰にも響かない記事になってしまいがちなのです。


ターゲットの興味関心度合いを3つにわける

さらに、考えたいのは、ターゲットの興味関心の度合いです。

当社では、「情報に対する興味や関心の度合いの違い」をコア層・リード層・マス層という3つに分けて考えています。


1. コア層…まさにその情報を探している人

2. リード層…情報に触れることで興味を持つ可能性のある人

3. マス層…いつかその情報に興味を持つかもしれない人

たとえば、「転職したい人」に向けた記事を書くとします。


コア層は、今すぐに転職を考えていて、直近で仕事を変えたいと思っている人です。たとえば、「転職サイトの比較」といった内容などで探している人が多いのではないのでしょうか。あるいは、各企業のより詳細な情報など。


リード層は、今すぐ転職は考えていないけれど、いずれは視野にいれている人。潜在的なニーズを持った層です。たとえば、「自分のキャリアの棚卸しをしてみる」「転職サイトに登録してどんな仕事があるのか見つけてみよう」といった切り口の記事が読まれそうですよね。


マス層は、就職したばかりの新卒生などが当てはまりそうです。


このように、年齢や性別はもとより、趣味趣向、興味関心度合いまでを考えることで、格段に届きやすい記事になります。


構成づくりを徹底する

構成とは、記事の設計図のことを指します。思いついたことを思いついたままに書くのではなく、「伝えるべきことから伝える」のがPRライティングです。インタビューをした際も、聞いた順や時系列順に書くのでもなく、読者が知りたいであろうことから書きましょう。


1.記事内でもっとも伝えたいことを決める

設計図を作る前に、どんな記事にするのか、「記事内でもっとも伝えたいこと」を決めます。記事全体を通して読み手にどうなってほしいかを踏まえて、伝えるべき1つの論点・ゴールを決めるのです。


これによって記事に一貫性が生まれます。


なんとなく書き進めていると、書いているうちに論点がズレてしまうことは多々あります。さらには、あれもこれもと伝えたくなって、読者が「結局なにを受け取ればいいのだろう?」という記事になってしまいかねません。読み手の受け取りやすさを考え、論点をしぼることを意識してください。


2.要素を洗い出す

次に、伝えたい要素を洗い出します。たとえば、シェアハウスの無料キャンペーンを実施した際にプレスリリースを作成するとします。

要素としては、次のようなものになります。


・企業の特徴

・シェアハウスの特徴

・キャンペーンの趣旨

・募集要項

・応募条件

・応募方法

・お問い合わせ先

・これまでの取り組み

・経営理念

・代表からのメッセージ


このように、伝えたいことに加えて、読者がどのような情報が求めているかを考え、記事に必要になるであろう事柄を書き出します。

さらにこれらの事柄に紐づいて、具体化できる部分はできるだけ細分化しましょう。まずは思い浮かんだ順に羅列してみてください。


このように、まず洗い出すことで抜け漏れを防ぎ、さらには、入れ替えることで、読者が興味を持ちそうな流れを組み立てることができます。後で順番を入れ替えることを考えて、エクセルやポストイットを使って要素を書き出すのがおすすめです。


PRライターとして気をつけたいのは、事実の羅列にならないよう、想いや開発背景なども入れるということです。事実だけを並べるよりも、なぜそれを伝えようとしているのか、どういう背景から伝えたいことが生まれたのか、などが入っていたほうがより読者の納得感・共感を得やすく、興味を持って最後まで読み進めてもらえます。


とくに、PR業界では数年前からストーリーを伝えることが重視されています。これは、企業が情報発信しやすい世の中になり、スペックだけでは差別化しきれず、買い手側も何を選べばいいかわかりづらくなったという時代背景が関係しています。

3. AIDMAを意識して、伝える順番を決める

記事を読んでから読者が行動にうつすまでの流れを、当社では「AIDMA」というマーケティングの頻出法則で考えます。AIDMAとは、Attention(気づく)→Interest(興味を持つ)→Desire(欲する)→Memory(記憶する)→Action(行動に移す)という一連の流れの頭文字をとったものです。

最近では、Desire以降が、Search(検索する)→Action(行動に移す)→Share(共有する)という流れでAISASとも言われています。


構成づくりにおいて、ここが最も重要な工程です。この「伝える順番」によって、読み手がどこまで読んでくれるかが決まります


日本人として国語を習った私たちは、起承転結で文章を書きがちです。でも、Attention(気づく)→Interest(興味を持つ)を意識すると、挨拶よりも書き手を信頼してもらえるような実績や結論からを書く方が重要なのです。

なるべく早い段階で読み手に興味を持ってもらえるような順番で展開しましょう。


まずは「あなたのための記事ですよ」「この記事を読めば役立ちますよ」ということが伝わること。そして、「この人の話は聞く価値がある」と思ってもらえるような事柄を伝えましょう。

最後まで読んでもらうために思わず読み手を焦らすような情報の出し方をしてしまいがちですが、そうではなく、記事の要点が簡潔に伝わるよう心がけてください。


ウェブで記事を読む人たちの多くは、隙間時間にスマホで簡単にスクロールしながら読み進めます。大量に情報が溢れている今、記事は簡単に最後まで読んでもらえるわけではないことを心に留めておかなければいけません。

それに、必ずしも最後まで読まれることが目的ではないはずです。たとえば、サービスや商品のお申込みを目指している記事であれば、極端にいうと、タイトルだけを読んでお申込みしてもらってもよいわけです。

なるべく早い段階で、読者が知りたいことを伝え、なるべく早い段階でアクションを起こしてもらえるような構成にしましょう


書き手側が伝えたいことと、ターゲットが求めているであろうことは、必ずしもイコールとは限りません。企業の経営者や社員が自社の情報を発信する場合、客観性を保つのは簡単ではありません。メリットやスペックばかりを伝えたくなるケースも多いでしょう。

しかし、読者は最初の段階では、読むことへの熱量がそう高くはないことを考慮し、読者の立場に立って「どんな情報に惹かれるか」を考えることがポイント


企業内部の人びとに代わって、徹底的に読者ファーストを目指すのが、PRライターの役割なのです。「誰に、何を伝えるための記事なのか」を設定し、何度も立ち返りながら文章を書くことで、読者に届くPRライティングができるようになりますよ。