未経験からフリーランスに。小さなことでも発信をつづけることが独立準備の一歩になる~フリーランスライター・広告ディレクター神田祐佳さん~

独立して自分らしい働き方をしたいと思っているものの、まずどんなことから始めたらいいのか?その方法がわからず、はじめの一歩が踏み出せない方が多いのではないでしょうか。

今回お話を伺った神田祐佳さんは、IT関連の会社から未経験でライター・広告ディレクターとして独立。会社員時代、顧客向け情報サイトの企画・運営に携わったことをきっかけに、より仕事の幅を広げたいと思い、フリーランスに挑戦することを決めたそうです。


人一倍の熱量を持ち、未経験からでもフリーランスとして着実に実績を積み重ねてきた神田さんに、独立後、確実にお仕事を広げていく方法をPRライターの根本美紗子が伺いました。


小さな「できる」を積み重ねることが、選択肢や可能性を広げる

──未経験からフリーランスでお仕事をするのは、大変ではありませんでしたか?

神田祐佳(以下、神田):未経験でお仕事を始めましたが、何もかも1からというわけではなかったです。最初のお仕事は「住」に関する記事執筆でした。ライターとしての経験が豊富だったわけでも、住宅関連のお仕事をしたこともなかったのですが、やってみたいという気持ちが強く、挑戦することにしました。


もともと、家のインテリアを改造するほど「住」というジャンルが好きで得意だったことや、前職でのPR関連の経験が活きています。趣味としてやっていることの内容を説明したらおもしろいという評価をいただき、仕事につながりました。

私の場合は、「住」というジャンルでしたが、「人よりちょっと得意かもしれない」ことが、なにかを始めるときの小さな自信になったりするんです。


また、ライターとして未経験だったからこそ、読者に近い目線で文章を書くことができました。難しい専門用語は読みづらいので一般的な言葉にするなど、読者に寄り添い、わかりやすく伝えることを意識しましたね。


これまでの社会人経験や、ちょっとした「できる」が、その後のお仕事に役立つことも大いにありますよ。


──業務委託の案件から活動を広げたとのことですが、その点についてよかったことはありますか?

神田:案件にもよると思いますが、一定の仕事量が保証されている業務委託であれば、自分がどれくらいの分量の仕事をこなせるかを把握することができることです。収入が安定することで気持ちにもある程度余裕が生まれますし、働いてだんだんお金がたまってくれば、そこから新しい挑戦もしやすいですよね。


得意なことや社会人経験が役に立つとはいっても、フリーランスになりたての頃は、先の見通しを立てにくい部分もあると思うので、確実に経験や実績を積み重ねることが大事だと思います。

業務委託の案件の中には、委託元のオフィスに出社する場合もあります。私もオフィスに出社していた時期があり、ほかの人の仕事ぶりを直接見ることができたのは、大きな学びにつながっていますね。


未経験で仕事の進め方がわからないことも多いからこそ、ほかの人のスキルやノウハウを間近で吸収できる環境からスタートするのもいい方法だと思います。


発信と情報収集の継続が、自分を成長させる機会や人との出会いにつながる

──未経験やキャリアが少ない方がフリーランスになる場合、どのような行動から始めるのがよいでしょうか?

神田:まず「私はこれができますよ」というものをどんどん発信することが大切です。


「住」を題材にブログを書いていた時期があるのですが、それを見た方からお仕事を依頼していただいたことがありました。独立する前は思いもよらなかったことで、何が仕事につながるのかわからないなと感じました。今ならばSNSなどもおすすめです。


発信内容は「仕事でこんな実績を残してきました」というものだけではなく、「普段趣味でこんなことをしています」というものでもいいんです。私自身、家の床を床材シートですべて模様替えするなど、DIYが好きなのですが、自分では当たり前にやっていることも、ほかの人から見ると新鮮なものとして受け止められることもあるんですよ。


発信していくうちに、もしかしたらやりたいことが見えてくるかもしれないですし、だれかがいいねと共感してくれるかもしれません。できないと決めつけたり、すぐに結果がでないから諦めるのではなく、まずは継続してみてほしいです。


──仕事の幅を広げるなかで、どのように自分のスキルを磨いていったのでしょうか。

神田:意識的に、勉強したり自分から情報を取りにいったりしていました。そうすることで知識を深めることができ、より広い視野で仕事に取り組めるようになりました。


1人で仕事をしていると、本当に今のやり方でいいのかわからなくなるときもあると思うんです。そういった状況でも自信をもって働けるように、客観的な視点で自分の仕事に対し適切なアドバイスをしてくれる人とつながることも、フリーランスとしての成長をすごく助けてくれます。


私の場合は、株式会社itty selectionが創業し、現在は株式会社Cannpassが主催する「広報・PRプランナー&PRライター養成講座」を受講したことが大きな経験となりました。ただ知識を教わるだけでなく、さまざまな経歴やスキルをもつ受講生仲間と出会ったことで、自分の強みやもっと努力したほうがいいところがさらに明確になり、自らの行動をより客観視できるようになりました。


フリーランスだからこそ、1人よがりにならず、周りの人の意見に耳を傾ける姿勢を持つことが何よりも大切だと私は考えています。


お客さまと一緒に仕事をつくるという姿勢が、信頼関係を築く


──お仕事をご一緒する方との信頼関係を築くために、どのようなことを心がけていますか?

神田:自分が対応できる仕事量や時間などを把握することが大切です。自分のキャパシティを超えて仕事を受けてしまうと、クオリティや締め切りを守れないなど、お客さまに迷惑をかけてしまう可能性があるからです。


期待いただいたことにがんばって応える、ということはもちろん大切ですが、受け身ではなく、お仕事を依頼する側とお仕事をいただく側の対等な関係を意識して、仕事内容や納期の交渉をしています。

余力がなくてお断りをするという判断に、不安や焦りを抱くこともあるかもしれませんが、プロとしての仕事の質を守れる範囲内でお仕事をいただくことが、最終的に信頼関係を築くことにつながります。


ただ、「この範囲までしかやりません」と割り切るのではなく、お客さまが想定外の事態に困っているときに、親身になって一緒に解決策を考えるといった、気遣いや思いやりも忘れないようにしていますね。


──最後に、フリーランスを目指す方へメッセージをいただけますか?

神田:相手の目線に立って考える、思いやることが大切です。これはどんな仕事にも欠かせないスキルだと思いますが、未経験の方であってもできることなので、これからフリーランスになるというとき、特に意識してほしいポイントですね。もちろん、フリーランスを長くつづけている今になっても大事にしていることです。


また、私の場合、会社員時代を含めてこれまでの経験や、仕事で苦労し達成感を得たときの感情などを思い出して、ときどき初心に立ち返るようにしています。そうした日々のちょっとした心がけを積み重ねることで、お客さまに仕事への誠実さや真剣さが伝わるんです。


これから独立を考えている方は、まずは小さな機会からでも、独立したい分野に挑戦したり、自分ができることを発信してほしいですね。小さなことでも繰り返すうちに、応援してくれる人が増えたり、お仕事の機会につながっていくので。


インタビューを終えて

今回の取材で印象的だったのは、「未経験だからできないという人が多いけれど、そんなことはないっていうのを見せたい」という祐佳さんのお言葉。そんな心強い発言にはとても説得力を感じ、勇気をもらえました。

新しい境地を切り開くときはだれでも不安を覚えますが、自分だけで悶々と考えていても答えはなかなか出ないもの。些細なことからでも少しずつ行動に移すことで、徐々に道はひらけてくるのだと改めて考えさせられました。


(取材・執筆:PRライター 根本美紗子 / 編集:PRライター 米田来美)