リーダー初心者が部下・後輩との信頼関係を築き、チームの成果を高める方法。信頼されるリーダーになるために、PR思考を身に着けよう~Cannpassイベントレポート~
はじめてリーダーの役割を務めると、「部下・後輩とどのように接すればよいかわからない」「まわりの人をうまく引っ張っていけるだろうか」と不安や悩みを抱く方も少なくありません。そこで2021年6月28日、株式会社Cannpassはオンラインイベントを実施し、リーダーになる予定の人・すでにリーダーとして活動している人が、前向きにリーダーの役割を担うヒントをお伝えしました。
株式会社Cannpassは、PR講座やPR人材プロダクション運営をつうじて、これまで100名以上のPRパーソンを育成。同社の代表である山崎春奈は、会社員と経営者のパラレルキャリアを歩みながら、大企業での部下育成に携わってきました。
PRのスキルとリーダーの役割は結びつかないと思うかもしれませんが、実はPRはどのような業界・職種でも活用できるものであり、よりよい人間関係を構築するうえで重要なものでもあります。今回のイベントでは、PR思考を部下・後輩とのコミュニケーションに活かし、信頼関係をより深める方法を、山崎がお話しました。
その模様を、PRライター根本美紗子がお届けします。
ミスを素直に謝り、感謝を言葉にする。PR思考を軸にした誠実な行動が、信頼されるリーダーへの一歩
イベント前半では、そもそもPR思考とは何なのか、どうしてリーダーに必要なのか、という話がされました。
山崎春奈(以下、山崎):はじめに、なぜリーダーがPR視点を持つとよいかというと、目先の利益や結果ではなく、長い目で見たときに、かかわる人や会社にとってベストな選択は何かを考える力が磨かれるからです。
たとえばPRでは、商品が売れるだけでなく、商品を買ったお客さまが「買ってよかった」「また買いたい」と思っていただけている状態のように、中長期的にかかわる方々との関係構築ができてPRとして成功したと言えます。
リーダーという立場に置き換えて言うと、目先の業務をこなして終わりではなく、お客さま・同僚・上司・部下など、「この人と一緒に仕事できてよかった」「この人なら安心してお任せできる」と信頼していただけると、仕事の成果や会社への貢献も、達成しやすくなりますよね。
そもそもPRとは、すべてのステークホルダーと良好な関係を構築すること。アピールや宣伝を意味すると捉えられがちですが、本質はお客さまやスタッフ、株主、世の中の関わるすべての人たちと中長期的に関係を築き、事業の発展や成長を目指すというものなんです。
その点を踏まえ、リーダーとして意識していただきたいのが、無意識に何かを否定したり、誰かを排除、あるいは見下すような発言や行動をしていないかということ。言葉の癖はつい出てしまうものですから、意図として誰かを傷つけるつもりはなくとも、実は相手を否定する発言を無意識にしていたということは実際に起こりえます。
また、自分のミスは謝る、小さな感謝を忘れないなど、誠実な行動も大切です。嘘や隠しごと、保身のための他責は、どこかで気づかれますし、そのような姿勢を人はわかりやすく感じ取るものですからね。
リーダーの方々には、こういった、日頃の仕事への姿勢や人との接し方に、PR思考をとりいれていただくと、部下や後輩との信頼関係を築いていきやすくなりますよ。
リーダーに必要なのは、カリスマ性よりも全体最適の視点。説明する手間を惜しまないことが大切
実際の業務の中での、PR思考の活かし方や習得方法について話は進んでいきました。
山崎:普段の業務でPR思考を身につけるために、まずは部下・後輩へ依頼や指示をする際、その背景まできちんと説明することを意識してみましょう。自分がやっていることや頼みごとをする目的を、自分がきちんと理解してから伝えられれば、チームメンバーの目的意識も変わります。
自分がお願いしていることは結果的に何に使われるのか、何に活かされるのかが明確であれば、仕事を依頼される側が納得しやすいほか、リーダーに協力しようという姿勢を持ってくれることが多いのです。また、場当たり的に出てくるタスクをひたすら片づけるという状態を防ぎ、チーム全体が効率的に仕事を進めることにもつながりますよ。
面倒だと感じるかもしれませんが、負荷の大きい仕事や急ぎの仕事であればあるほど、理由を説明するというひと手間があることで、相手の納得感は大きく変わります。チーム全員が目的意識を持つことでモチベーションが上がりますし、その積み重ねで、より多くの人を動かすことも可能になりますからね。
こうした、みんなに頼られるリーダーに大切なことや、PR思考の活かし方を知っていくと、これはリーダーだけに必要なスキル・思考ではなく、誰にでも重要なことだとお気づきなのではないでしょうか。
リーダーだから特別なスキルが必要というよりも、より多くのステークホルダーに関わるようになるリーダーだからこそ、長期的な視野を持って関わる人との関係構築をする、信頼関係を築く。こういった基本的な行動や姿勢が大切だと、私は考えています。
+ + +
自分がリーダーにふさわしいのか疑問や不安を覚える方もいるかもしれませんが、リーダーに向き不向きはあるのかといったご質問も、参加者からあがりました。
山崎:特殊な能力・スキルよりも、相手の気持ちに寄り添ったり、部下・後輩の能力やモチベーションを高められることがリーダーとして大事なところで。カリスマ性があって、みんなを強く引っ張っていく人しかなれないというわけではないので、日頃の行動次第でまわりから慕われるリーダーに近づくことは十分可能ですよ。
その際に気をつけてほしいのは、なんでも1人ですべてをやろうとしないこと。チームが最適に動くことを考え、メンバーがそれぞれ能力を引き出せるよう手伝う姿勢がリーダーには大切なんです。部下・後輩の適性や特徴を見ながら、チームの全体最適や会社全体への貢献を視野に入れられるようになると、よりよいリーダーになれるのではないでしょうか。
部下・後輩との信頼関係を築くコツは、相手との関係性にあわせた「叱る」と「褒める」のバランス
部下・後輩の指導で、多くの人が迷う「叱る」「褒める」についてのポイントについても話がありました。
山崎:リーダーとしての役割を果たしたくても、どのように相手を導いていけばいいかわからないときもあると思います。 そのような場合に大切にしてほしいのは、相手の性格・特徴を見ながら段階的に「叱る」と「褒める」を使い分けることです。
信頼関係を築く初期段階であれば、はじめは褒める量を多くするのがおすすめです。大きなミスをしてしまったときは別ですが、いきなり叱って相手が相談しにくくなってしまったり、「怒られないために仕事をする」というマインドになってしまっては、その人が本来なら発揮できる力が発揮できなくなってしまう可能性があります。
褒めるときのポイントとしては、相手の行動・発言・姿勢を日常的に観察してあげることと、よい行動があったら、些細なことでもきちんと言葉にして伝えてあげることが大切です。その人の安心感やモチベーションにつながりますし、チームに貢献している・みんなの模範となる行動をほかのメンバーとも共通認識をもつきっかけになるなど、メンバー個人のパフォーマンス向上とチーム全体への好影響の循環も可能になりますからね。
そして信頼関係がある程度築けた段階で、叱ることが必要だと感じたのであれば、遠慮せず、相手に向き合って、きちんと伝えましょう。ただし、感情に任せて叱るのではなく、「何をしたときに叱る」という基準ははっきりさせておくこと。その方が本人の納得感も生まれやすいですし、お互いより気持ちよく働いていけます。そして、部下・後輩も、何をすることがベストなのか、何をすることはよくないのか、理解しやすく、同じミスも繰り返しにくくなるんです。
とにかく褒めればいい、あるいは、厳しく怒ればいい、という決まったルールはないんですよね。部下・後輩と言っても、1人ひとりの特性や能力はさまざま。相手に合わせたコミュニケーションを心がけていただけると、部下・後輩に信頼されるリーダーに近づいていきますよ。
イベントを終えて
リーダー初心者の方にとって役立つアドバイスが豊富に語られる中、あっという間に時間が過ぎ、本イベントは終了しました。これまでも現在もさまざまな形で人材育成に携わってきた山崎さんだからこそお話できる、実用的かつ説得力のあるトーク内容だったと思います。 人を導く存在として成長したいとお考えの方は、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。
●登壇者プロフィール
・山崎 春奈(やまざき はるな)
東京外国語大学アラビア語科を卒業後、石油元売メーカーに入社。その後、リクルートキャリアへ転職し新卒エージェントサービスの営業に従事。現在は、会社員として外資系自動車部品メーカーにてマネジメント職を務め、営業補佐や採用、人材育成など多岐に渡る業務をおこなう。並行して、2016年より複業メンバーとして株式会社itty selectionに所属し、PRプランナー/PRライターの活動をスタート。2019年9月に執行役員就任。2020年8月、株式会社itty selectionからの事業譲渡をうけ、株式会社Cannpassを設立。PRを軸とした人材育成・キャリア支援サービスを展開する。
●記事制作
<主催>
・株式会社Cannpass https://www.cannpass.jp/
<株式会社Cannpass>
PR/キャリア/人材育成の事業をつうじて、企業・個人のみなさまをサポートする企業です。PRを軸に、複業家・フリーランス・女性リーダー育成や、スキルアップ・キャリアアップ支援を行なっています。代表取締役:山崎春奈/所在地:東京都渋谷区。
・イベントプレスリリース(※イベントは終了しました)
(執筆:根本 美紗子)
0コメント