開始9か月でTwitterフォロワー数1万人超え達成。ファンとの信頼関係を築き、事業発展に有効なSNS発信のポイントとは~株式会社住んで埼玉 代表取締役 岡野周平さん~

PR施策の1つとしてTwitterを利用する際、発信内容、フォロワーの増やし方など、どのように戦略を立てたらよいのでしょうか。また、SNSでのPRを事業の発展にどうつなげていけるのでしょうか。


今回、お話をお聞きしたのは、埼玉県を中心に、住まいの相談や物件の仲介・売買などを手がけている、株式会社住んで埼玉の岡野周平さんです。Twitterアカウント「すんで埼玉」は、埼玉の物件やライフスタイルに関する話題や分析などを独自の切り口で発信し、フォロワー数は9か月で1万人を超えました。

ファンとの信頼関係を深め、事業発展をつづけていくためのSNS活用方法や発信の戦略などをPRライター 柴田 惠津子がインタビューします。


今求められる情報から事業開発の裏側までを伝え、長期的な信頼関係を構築する

───企業としてSNSで発信する際、どのようなスタンスを大事にすべきでしょうか。

岡野周平(以下、岡野):私がSNSで発信する際に順守しているのは、以下の3つです。


・嘘をつかない:ありのままを発信する

・否定しない:肯定した上で別の提案をする

・非を認める:失敗から学び、すべてを糧に改善・前進する


現在はインターネットが普及し、ひと昔前よりも人々の情報収集の機会が増え、情報感度も高くなりました。話題性のために話を誇張しても、実態と違うと気づく方が多く、そうなると一気に人が離れていきます。


そこで、等身大の姿であること、企業・事業の成長過程、商品・サービス開発の進捗や、成功、失敗などもコンテンツ化して伝えていくことが、長期的な信頼関係の構築につながると考えています。私の場合はコアなファンの方に向けて、Instagramのストーリーズで、Twitterでの発信の反省点や思考の裏側などを投稿していますが、そこで関係性を築くことでTwitterでの投稿も応援していただけています。


───SNSでの発信の仕方、伝え方などで心がけるべきことはなんでしょうか。

岡野:まず、誰に向けて発信するかを具体的に設定することです。「すんで埼玉」は、都心・郊外のどちらに居住するかを検討中の方、世帯年収が高く、物事をしっかり調べられるITリテラシーが高い方がターゲットです。


そして、自分が伝えたいことがあってもグッと堪えて、ユーザーの方が求めているであろう情報を考えてから発信しています。私は「埼玉に住みたい人やファンを増やす」をミッションに掲げていますが、「埼玉に来てほしい」とは言いません。「よりよい住まいが埼玉にありそうだ」と感じられるリアルな情報を発信しています。


また、Twitterの場合、詳しい説明をしなくても伝わることは、投稿で語りすぎず短いメッセージにしています。見た方が投稿に対して何かを言いたくなる余白をデザインすることで投稿を引用したリツイートも増えるなど、多くの人に知っていただくきっかけになります。


自分の強みと、まだ誰も伝えられていないことをかけ合わせて発信する

───SNSで発信をはじめる際、まず取り組むべきことは何でしょうか。

岡野:自分の強みを見つけることです。何かを始めようとするとき、ほかの人がどのようなことをしているか、外の情報が気になるかと思いますが、内省して自分の強みを2、3個ピックアップしてみることが大事だと考えます。


私の場合は、埼玉に詳しく、不動産が好きで、インターネットを活用することが得意だという3点にたどり着き、SNSでの発信、不動産事業をはじめました。実は、会社としてどんな事業をやるかが定まる前にTwitterで埼玉に関する話題や物件に関する情報発信をはじめたのですが、アカウント開設からわずか1週間でフォロワー数が1000人ほど増加して。今後事業化してやっていけそうだ、という手応えをTwitterでの発信を通じて得ることもできました。


───SNSでの発信において、切り口はどのように設定するとよいでしょうか。

岡野:自分の強みと、他の人がまだやっていないことを把握して、それらをかけ合わせることが大切なポイントといえます。


私は知名度ゼロの状態でTwitterをはじめたので、ほかの方とは違う切り口で発信しないと目立てませんでした。そのため、不動産に関する情報を発信しているSNSアカウントの投稿内容を見てみたのですが、部屋の広さや家具など、スペックを紹介しているものが大多数だったんです。


そこで、フォロワーの方に紹介したいマンションや住宅などをそのまま説明するのではなく、どんな方にその物件が合うか、購入しそうな方の人物像や暮らし方を考え、短編の物語風にしてTwitterの1投稿140文字に収めて投稿しました。また、私自身が都心から埼玉に移住するストーリーも発信し、新型コロナウイルスにより、住まいに求めるものが変化する人々へ、実例として伝えました。


根幹となる商品やサービス、コンテンツと向き合いつづけることがPRにつながる

───TwitterでのPRから、どのような可能性を広げられそうですか?

岡野:2021年6月にTwitterのフォロワー数が1万5000人を超えたのですが、新聞などに取り上げていただく機会が増えてきました。多くの人に知っていただくことで話題性が生まれ、より広く、加速度的に商品・サービスを届けられるチャンスとなっています。

今後は、私自身に多くのファンがいる、タレント化のような状態を目指しています。


ファンには大きく2種類があると考えます。「情報」のファンと「人・企業」のファンです。前者は、発信している情報の内容に価値を感じてくださるファンで、後者は人や企業そのもののファンです。


長期的にビジネスを発展させるには、「人・企業」のファンになってもらうことが大切です。ただし、ファンになるきっかけは「これはおもしろい、有益だ」と思ってもらえる情報の質や価値の部分でしょう。ですから、Twitterで住まいや埼玉に関する情報を入り口とし、同時に会社や事業づくりのプロセスを伝えつづけて、すんで埼玉や、社長岡野のファンになっていただくことを目指しています。


───最後に、SNSでの発信でPRをしていきたい方に向けてアドバイスをお願いします。

岡野:まず、発信に向けた準備としては、自分の強みを認識し、その強みを活かせる発信上のポジションを考えていくことをおすすめします。


ただ、PRや発信の手法、テクニックだけにとらわれていてもうまくいきません。商品やサービス、事業内容といった根幹の部分の質が高いか、自社だからこそできる価値があるものとなっているかに真摯に向き合いつづけることが大切です。

根幹になるプロダクトやコンテンツに独自性と際立ったよさがあれば、それを提供しつづけること自体がPRになり、ファンづくりや信頼関係の構築、さらには事業発展につながるのではないでしょうか。


インタビューを終えて

岡野さんが事業立ち上げ初期から現在に至るまで、どのようにSNSでの発信に取り組んできたのかをお聞きし、企業・事業としてのSNS活用方法やポイントを学ぶことができました。

とくに印象的だったのは、事業内容や発信するコンテンツに本当に価値があるのか、自社だからこそできることなのか、といった根幹がしっかりとあってこそ、結果的によい広報・PR活動につながりうるのだということです。さまざまな仕事や活動、PRに取り組む上で、大切にしていきたいです。


(取材・執筆:PRライター 柴田 惠津子 / 編集:PRライター 神田 祐佳)


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住まいの相談は「すんで」(株式会社住んで埼玉)